前年度に引き続き、カニクイザルのグルクロン酸転移酵素(UGT)の遺伝子クローニング及び異種細胞現系でのタンパク質発現系構築を進めた。 またUGTキメラ酵素作成のためにの手始めとして、同じマーモセットからすでにクローニングをしていたCYP2D19とヒトCYP2F6のキメラ酵素作成も同時に進めた。両酵素間では基質であるデブリソキンの酸化反応の位置選択性が異なっていることを指標に、それぞれをコードしているcDNAを制限酵素により3分割して、交換してつなぎ合わせA、BおよびCの3種のキメラcDNAを作成し、酵母細胞に導入し、キメラ酵素タンパク質を発現させた。その酵素機能を検討することにより、ヒトおよびマーモセットCYP2D酵素の独自のデブリソキンの酸化反応の位置選択性を決定する部分構造を確認した。 この結果を踏まえて、ヒトUGT2B15と、その相同酵素である力ニクイザルUGT2B20のcDNAクローニングを行い、それぞれ酵母細胞に導入して酵素タンパク質を発現させ、7-ヒドロキシトリフルオロクマリン(7-HTFMC)を基質にしてその酵素機能を調べた。酵素活性はUGT2B15<<UGT2B20であり、キメラ酵素作成に適していることが分かった。 上記のCYP2D酵素の例に倣ってこれら2種のUGTをコードするcDNAを制限酵素で2分割して、A(N-末端部位がUGT2B15CでC-末端部位がUGT2B20)とB(N-末端部位がUGT2B20でC-末端部位がUGT2B15)の2種類のキメラcDNAを作成し、酵母細胞に導入してキメラ酵素タンパク質を発現させた。 しかしながら、この条件ではいずれのキメラ酵素タンパク質も十分な酵素活性を有していなかった。そこで、現在、発現系を酵母細胞からCOS-7細胞に代えて、発現を試ており、その結果が待たれるところである。
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