免疫疾患や癌は、さらに増加傾向の一途を辿っている。加えて、その重症化も進み、日常生活に著しい支障を慢性的にきたすことから、国民の健康上重大な問題となっている。さらに患者のQOLの向上を図るためにも、疾患の状況を把握しうる確実なる診断法開発も必要である。本研究においては、近年の疾患発症の分子メカニズムの研究により明らかになり始めている核タンパク質のエピジェニック効果にスポットを当て、疾患における核タンパク質の異常なタンパク質修飾を特異的に、かつ迅速に検出しうる診断法の開発を目指すものである。実際、本研究において免疫疾患や癌等の疾患関連核タンパク質を標的としてその核タンパク質修飾を検出しうる測定系を樹立することにより、診断をより容易なものとし、最終的にはタンパク質修飾を標的とした特異的な治療薬開発を目指す。国民の保険医療において、安価で簡便な診断、副作用の少ない特異的治療薬の開発は医療費削減にも重要なポイントであ。本研究においては核タンパク質のエピジェニック効果に伴うタンパク質修飾を特異的に検出する抗体の作製により新規診断法の確立を行う。本年度はタンパク質のリン酸化部位あるいはアセチル化部位の同定とその特異的抗体の作成により、生体内での特異的修飾を検出できた。しかしながら抗体の力価さらにあげ、大量に産生しうるモノクローナル抗体の作成を進める必要があり、現在進めている。また、それを用いてのELISA測定法の予備実験にも成功しており、さらに産業化に向けて研究を進める。
|