生命の基本単位である細胞は、蛋白、脂質、糖質、核酸から構成されるが、中でも、蛋白同士の相互作用は細胞の構造の大枠を決定する点で、重要である。また、蛋白は、脂質、糖質、核酸の合成・分解をつかさどる酵素活性を担うが、蛋白相互作用は、酵素活性の調節にもかかわり、細胞外情報を細胞内に伝える仕組みとしても重要である。細胞を構成する蛋白分子の配列情報が集積した結果、ほとんどの蛋白分子が、蛋白相互作用に関わるモジュールをもち、その組み合わせを利用して、多彩な蛋白相互作用を実現していることが知られている。本研究では、1)人為的な蛋白相互作用モジュールを組み合わせることにより、実際に自然界に存在するよりも、より強固な蛋白相互作用を実現できるかどうか、2)より強固な蛋白相互作用をもつ蛋白分子を、細胞レベルで淘汰選択することが可能かを、明らかにすることを目的としている。平成18年度には、DNA結合領域と融合した蛋白AおよびDNA活性化領域と融合した蛋白Bを同時発現して、両者が蛋白Aと蛋白Bが相互作用するときに、細胞外に分泌されるルシフェラーゼがレポーターとして発現すると同時に、細胞外に分泌されるアルカリホスファターゼを内在性のレファレンスとする1体型のレポーターベクターを作成した。さらに、蛋白Aとして低分子量G蛋白であるRhoA、蛋白BとしてRhoAの調節分子であるRhothekinおよびRhoGDIをもちいることを計画し、両者が相互作用するときに、レポーターである分泌型ルシフェラーゼのみならず、DNA結合領域と融合したRhoAそのものも発現するベクターの構築に着手した。
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