研究概要 |
aアスベストの細胞毒性へのmina53関与の解析 悪性中皮腫の発生は、アスベストの種類によって差があることが知られており、クロシドライトが最も危険性が高く、アモサイトがこれに次ぎ、クリソタイルは前二者より低いとされているので、この3種類を実験に使用した。これらのアスベストでmina53ノックアウトマウス由来の初代培養胎児繊維芽細胞を刺激した時のDNA合成およびタンパク合成への影響を3Hチミジン、3Hロイシンの取込みをモニターしてmina53ワイルドマウス由来の初代培養胎児繊維芽細胞と比べた結果、クリソタイルによる刺激の時、タンパク合成量が約50%に低下した。DNA合成にっいては上記3種のアスベスト間で大きな差は見られなかった。 b.肺癌細胞のアスベスト刺激への応答 肺癌の細胞株を上記3種のアスベストで刺激したときのmina53タンパクの発現量の変化をウエスタンブロット法で調べた。その結果、クロシドライト (200μg/ml)により24時間後にはその発現量が1.5倍に上昇した。 c.中皮腫細胞のmina53タンパクの発現量調査 中皮腫の細胞株(H2050,H2454,MESO-1)のmina53タンパクの発現量を他の癌細胞株と比較したところ、子宮頸癌(HeLa)、大腸がん(HC7116)等に比べて20から45%の発現量であった。 d. mina53ノックアウトマウスを使用したアスベスト暴露実験 mina53ノックアウトマウスを久留米大学から産業医科大学の動物研究センターに搬入し、クリーニングのための人工授精、胚移植を実施した。SPFにしたmina53/ックアウトマウスは、現在繁殖のためにメイティング、出産、ジェノタイピングを行っている。
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