研究課題/領域番号 |
18659097
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 教授 (50189669)
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研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学部, 助教授 (70379402)
鹿股 直樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (60263373)
矢野 嘉彦 神戸大学, 医学部附属病院, 学術推進研究員 (60419489)
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キーワード | Endothelial lipase / Nonalcoholic steatohepatitis(NASH) / メタボリック症候群 / 脂肪肝 / アルコール性肝炎 / adipocytokine / 血管内皮リパーゼ / 酸化ストレス |
研究概要 |
近年、脂肪肝から肝硬変および肝癌への進展が問題視されています。その背景には、食生活の欧米化や生活様式の変化に伴う肥満により引き起こされるメタボリック症候群や、その一環として非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の存在が挙げられます。NASHは飲酒歴がないにも関わらずアルコール性肝炎と極めて類似した肝組織像を呈する疾患であり、ウイルス性肝炎が制圧されつつある現在、NASHは非常に亜要な疾患概念となってきていますが、その発症機序については十分には明らかになっていません。我々は脂質代謝に関連のある血管内皮リパーゼ(Endothelial lipase)をKnockout(K.O)したマウスに高脂肪食を与えると、単なる脂肪肝ではなくNASHが発生することを見出しました。この機序を解明することでNASHの診断・治療に繋がると考えています。血管内皮リパーゼ(EL)は血管内皮細胞よりクローニングされた、500アミノ酸よりなる分泌蛋白であり、これまでの研究によりEL K.OマウスではHDL-Cholが上昇し動脈硬化の進展を抑制することがわかっています(J Clin Invest 2003,111:347-355)。このため,このK.Oマウスを用いることによって、脂質代謝異常がNASHにどのように関わるかを解明することが可能になるものと考えます。Wild typeマウスに高脂肪食を負荷すると脂肪肝になるのに対して、EL K.Oマウスでは高脂肪食負荷により高率にNASHに進展します。この二つを遺伝子、分子レベルで解析することにより脂肪肝からNASHに関わる進展因子(adipocytokine、酸化ストレス、炎症性サイトカイン)を解明できると考えています。このモデルを解析することにより病態を形成している因子が明らかになり、病態の進展を抑制することで発癌抑制も可能になります。
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