研究概要 |
本年度は実験計画初年度であり,実験動物の準備が中心となった.Green fluorescent protein (GFP)遺伝子を強発現する遺伝子改変マウスを準備し,同マウスの消化管粘膜,皮膚,骨髄などから系統的に組織を採取し,標本を作製して蛍光顕微鏡下で観察したところ,全ての細胞でGFP蛍光が観察されることが確認され,今後の実験使用に適切なマウスであることを確認した.次に,実験計画に従って血液幹細胞移植を行うためにGFPマウスと野生型マウスの血管をシャントさせる動物モデルの構築に取り組んだ.しかしながら,シャント破綻や感染,原因不明の不慮の障害により,GFPマウスからシャントを介した野生型マウスへの血液幹細胞の移動を観察するに至らなかった.そこで我々は,安定した骨髄移植法の確立が必須と考え,現在最も汎用されている,採取した骨髄を放射線処理したマウスへ移植する方法をとることとした.現在,骨髄移植法の確立のため,そのノウハウをお持ちである新潟大学大学院.追手巍教授に御指導いただき,実験準備を進めている.一方,本研究では,骨髄移植されたマウスにおいて骨髄幹細胞の分化様式を免疫組織化学的に検討する予定であるが,上皮マーカーサイトケラチン,血管・リンパ管マーカーCD34,D2-40および筋細胞マーカー・αSMAの免疫染色に向けた条件設定を平行して進めており,他方では大腸炎モデルを確立するために,マウスにtrinitrobenzene sulfonic acid (TNB)またはdexiran sodium sulfate (DSS)を投与し,至適条件を設定中である.
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