研究課題
虚血・再灌流障害で組織障害の大きい場合、強い全身性炎症反応症候群(SIRS)が誘導され、その結果急性腎不全となり死亡する。この重篤な病態では対策、治療に有効なものはなく未だ高い死亡率にある。ポリオール代謝は、過剰なグルコースがミトコンドリアでの解糖系に入らず、アルドース還元酵素(AR)を介してソルビトール、ソルビトールからフルクトースへと代謝される解糖系側鎖路として作動する。この過程の亢進により補酵素であるNADPHが消費され、NO減少、グルタチオン減少となる。また、ARはこのほかアルデヒドをも基質として代謝することから、虚血・再灌流の場合、グルコース、アルデヒドの二重の負荷によりポリオール代謝が亢進し、細胞障害をもたらす可能性が高い。従って、この系を制御することは新たな治療法の開発につながる。今回の研究では、ARノックアウトマウス(KO)を用い当研究室で開発した下肢マウス虚血・再灌流障害モデルにおいて実際ポリオール代謝亢進が組織障害をもたらすことが確認された。すなわち、下肢支配血管の結紮により下肢虚血障害により、筋壊死とともにCPK上昇を起す。WTマウスに比してAR-KOではその障害程度が軽度であった。またWTマウスでの虚血・再灌流障害の下肢筋壊死、腎障害を特異的なAR阻害薬を用いることにより、有効に抑制することができた。今後、この系をさらに詳細に検討し、AR阻害薬の使用法、時期などの効果について検討し、今後の臨床応用を図る。
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