研究概要 |
モデル動物としてネズミマラリア原虫P.berghei、媒介蚊としてはハマダラカAnopheles stephensiを用いて研究を進めている。スポロゾイトの感染関連分子(SPECT1、SPECT2,CelTOS,Pb36など)はスポロゾイトが皮膚や肝臓の類洞壁の通過、肝細胞への寄生に必須の分子として、我々がこれまでに、同定し機能解析を行ってきた分子である。これらの分子の発現がどのような唾液腺因子によって調節されているかを明らかにするために、唾液腺成分の探索と遺伝子クローニング実験を開始した。またその調節の機構は如何なるものかを明らかにするため、これらの分子に関して以下の実験を進めている。 1)マラリア媒介蚊であるAnopheles slephensiの唾液腺を採取し、そこからmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを構築した。 2)このライブラリーをランダムに網羅的に解析し、約500のEST解析が出来た。これをもとに既知遺伝子やESTデータベースの構築を試みた。まだ、十分なESTが揃っていないので、完成されたデータベースとは言えない。今後更にEST解析を追加する予定である。 3)解析済みのハマダラカ唾液腺ESTから、他の昆虫等で既にわかっている各種活性分子との相同生のある分子について,いくつかをピックアップした。 4)そのうちの一つについてバキュロウイルス系によってタンパク質発現を行い、その活性を見た所、抗凝固活性が確認された。この分子について詳細な高業顔機構について現在解析中であるが,予備的な結果として、内因系大XII因子を阻害すると言う結果が得られている。 5)今後,更に生理活性の明らかな分子を同定し、これら分子がマラリア原虫の必須分子発現の制御にどう関わるかについて解析を進める。
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