研究課題/領域番号 |
18659128
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 生体防御部, 室長 (20206478)
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研究分担者 |
武下 文彦 横浜市立大学, 分子生体防御学, 准教授 (60333572)
石井 健 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00448086)
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キーワード | TLR / 病原体 / センサー / 分子間相互作用 / 融合タンパク / QCM |
研究概要 |
環境中に存在する様々な病原微生物を迅速かつ高感度に検出する方法はなく、そのような手法の開発が望まれている。TLRのようなパターン認識受容体と病原体構成成分は無細胞系でも結合が起こることから、これをバイオセンサーとして利用する可能性に関する基礎研究を行った。非メチル化CpGモチーフを認識するヒトTLR9のリガンド結合部位であるleucin-rich repeatを含む細胞外ドメインと、免疫グロブリンFc部分とを融合させた蛋白を発現するようなプラスミドを構築した。作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションして大量調整し、これをHEK293細胞を用いた大量発現系で発現させ、TLR融合蛋白をプロテインGアフィニティー精製した。このTLR9融合蛋白とそれらに対応する既知のリガンドである非メチル化CpGオリゴDNAやTLR9刺激能を欠くコントロールDNAなどとの分子間相互作用を表面プラズモン共鳴(SPR)、および水晶発振子マイクロバランス(QCM)法の2種類の方法によって定量的に測定を試みた。その結果、SPRでは測定系が不安定であったが、QCMを用いることでCpG DNA特異的に分子間相互作用を高感度に検出可能であり、用いる塩基配列による親和性の差も検出できることが明らかとなった。一方で、TLR2融合蛋白も同様に作製し、リガンドであるpeptidoglycanとの結合を評価したが、満足できる特異性は得られなかった。本研究成果によって、将来的に複数のTLR融合蛋白を組み合わせて用いることで、様々な種類の病原体を検出するバイオセンサーが開発できる可能性が示唆された。
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