研究概要 |
平成18年度は,RIG-1蛋白質及びIPS-1蛋白質の構造ドメイン領域をプロテアーゼによる限定分解によって同定することを試みた. まず限定分解の出発材料となる全長蛋白質を昆虫細胞を用いて生産するため,それぞれの発現用バキュロウイルスをInvitrogen社のBaculodirectシステムを用いて作成した.得られたバキュロウイルスをSf21細胞に感染させ,目的蛋白質の発現を行った.いずれの蛋白質もカルボキシル末端側にStreptagIIを融合させてあり,細胞抽出液について抗StreptagII抗体を用いたWestern Blottingによってそれぞれに抗体と交差反応を示す蛋白質が発現していることを確認した. 次にウイルス感染細胞の抽出液をStreptactin sepharoseゲルに添加し,アフィニティー精製を行った.その結果,いずれの蛋白質についても目的分子量をもつ蛋白質として精製された.RIG-I蛋白質についてはさらにゲルろ過を行い高純度の試料を得ることができた.一方,IPS-1はゲルろ過を行ったところ,強い凝集を起こして排除限界に溶出されてきたことから,以降の限定分解には適用できなかった. 得られたRIG-I蛋白質は非変性状態で複数のプロテアーゼによる限定分解に用いられた.その結果,プロテアーゼに耐性のある3種類の蛋白質断片を得ることができた.得られた耐性領域の具体的な領域をプロテインシークエンサー及び質量分析計を用いて同定したところ,N末端側のCARD領域,中央のヘリカーゼ領域,そして機能未知のC末端領域へとそれぞれ帰属することができた.
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