研究概要 |
今年度はまずRIG-IのN末端とC末端のそれぞれに蛍光蛋白質ECFP及びEYFPを融合させた一分子型のウイルスセンサーの発現ベクターを作製した.この発現ベクターを293細胞に導入して蛍光観察を行ったところ,ECFPとEYFPそれぞれに由来する蛍光が観察された.このセンサーでは非活性化状態ではFRETが生じることが期待されたが,実際には観察されなかった.今後は前年度に同定したドメイン間の切れ目に順番に蛍光蛋白質を挿入し,FRETが生じる配置を検討していく. 次に二分子型のウイルスセンサーの発現ベクターを作製した.まずRIG-IとECFPの融合蛋白質の発現ベクターを作製し293細胞中に導入したところ,ECFP-RIG-Iに由来する蛍光の発生が確認された.次にIPS-1蛋白質のミトコンドリア局在に必要なC末端側を欠いた欠失変異体IPS-1-N513とEYFPの融合蛋白質の発現ベクターを作製し,293細胞中に導入したところ,EYFP-IPS-1-N513に由来する蛍光が確認された.さらに両融合蛋白質の共発現を試みたところ,それぞれの蛍光を同時に観察することができた.続いてFRET観察を行ったところ,両者を共発現させただけでは当初の予想どおりFRETは生じなかった.RNAウイルスが感染した際に,両融合蛋白質の相互作用に由来するFRETが生じるかどうかを確認するために,共発現した細胞に対して組換えレンチウイルスベクターを感染させた.しかしながらこの場合でもウイルス感染時のFRETは観察されなかった.現在,ウイルスベクターを感染させた際に両者が複合体を形成しているかどうかを免疫沈降法により確認するためのコンストラクトを作製中である.
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