研究概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)のHBs蛋白はひじょうに効率よく分泌され粒子を形成することが知られている。本性質を利用し粒子表面上に異種蛋白を発現し様々な抗原に対応可能な万能型ワクチン創成技術開発へ応用することを考案した。このようなことが実際可能かどうかを確認するため異種蛋白としてはヒスチジンヘキサマー-Express(His6-Exp)タグを用いて,分泌シグナルが存在するとされるHBsN末約20アミノ酸を残しその後に続く親水性部分に挿入するタイプや単純にN末に融合させるタイプなどのうち,どのような構築が最適か更なる検討を培養細胞系で検討した。その結果HBsのORFの5'に単純に融合する(His6-Exp-HBs)ことが最適であることが解った。本発現ベクターを培養細胞へトランスフェクションし一過性発現系及び安定発現系にて培養上清を回収した。培養上清中に分泌されたHis6-Exp-HBs蛋白がNiNTA(His6アフィニティー担体)アガロースで回収・濃縮されることを確認した。更にスークロース密度勾配遠心で比重1.15〜1.18g/m1に集積することを確認した。これらの結果はHis6-Exp-HBsが粒子を形成していることを示している。 粒子形成能を更に具体的に示すため電顕レベルでの粒子の証明,免疫原性を証明するためのマウスへの接種実験が進行中である
|