本研究の18年度に、アクリル重合反応の安定化剤に単糖や2糖の生体物質を用いて、pDNAの新しいナノ粒子抱合方法を開発した。この方法で得られたpDNA抱合ナノ粒子をマウスに靜注、皮下あるいは腹腔内投与によって2ケ月間免疫したところ、その免疫活性は前年度作製したdextran-pDNA抱合ナノ粒子の結果より明らかに高いデータが得られた。しかし、その免疫活性は非ナノ抱合pDNA単独大量接種より低かった。 その原因を詳細に検討した結果、水溶媒でアクリル重合反応を行なった事例の抱合粒子では、pDNAの電気泳動バンドはかなり薄く、粒子中に抱合されたpDNAの多くが抱合反応時に水解を受けて、その生物学的機能に障害が生じていたとの結論に達した。 そこで、pDNAの抱合反応条件を大幅に再検討して、アルコール溶媒中でアクリル重合反応を行なう方法を開発した(特願)。この新しい方法では、抱合時にpDNAの分解を抑え、pDNAの構造を保持した状態で粒子に抱合できる。 新しい方法で得られたpDNA抱合ナノ粒子をマウスに靜注、皮下、腹腔内、経口投与を実施して2ケ月間免疫したところ、その免疫活性は非ナノ抱合pDNA単独大量投与条件より高い結果が得られた。現在、被験マウス数を増やして各投与法との群間比較試験を始めている。本研究結果は、経口投与によるpDNAワクチン製剤への道を初めて開くことにつながる。
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