研究課題
本研究の結果、HIV-1とMLVのGagが本来有するミリストイル化シグナルを細胞由来の膜タンパク質に置換した「膜タンパク質融合Gagタンパク質」は、膜タンパク質のtopologyを維持した状態で発現し、核周囲および細胞膜へ局在し、multimerizationし、出芽してVLPを産生することが判明した。これは「ミリストイル化はVLP産生に必須である」という通説が否定的であることを示唆する。Gagは、脂質ラフトから出芽すると考えられている。Gagはミリストイル化をうけて脂質ラフトへtargetingする。これは効率的なVLP産生に重要であると考えられている。膜タンパク質融合Gagタンパク質は形質膜上のマイクロドメイン局在を膜タンパク質に依存する。CD4は脂質ラフトに局在し、CXCR4は局在しない。HIV-1のGagを使ったCXCR4GagGFPとCD4GagGFPは共に出芽する。脂質ラフトに集積しないと考えられるCXCR4GagGFPの出芽効率がCD4GagGFPより高かった。つまり脂質ラフトへのtargetingはVLP産生に必須な要項ではないことが示唆された。以上より、Gag出芽は輸送経路に非依存的であることがはじめて示された。これらはミリストイル化を受けないGagの解析だけではわからなかった新知見であり、ウイルスの生活環を理解する上で非常に重要な発見である。本研究の結果はレトロウイルスの生活環や進化を理解するというウイルス学的見地において重要であるだけでなく、Gagや膜タンパク質と相互作用する諸因子の機能的なスクリーニング系の開発にも大きく資することが期待される。
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