研究概要 |
ヒスタミン関連多重遺伝子改変マウスの開発による副作用予測の必要性があり、多重遺伝子ノックアウトマウスを作成している。既に入手飼育しでいるヒスタミン受容体(H1,H2,H3)欠損マウスを交配させることにより、ヒスタミン受容体トリプル遺伝子改変マウスを作製することを試みた。H1受容体欠損マウス、およびH3受容体欠損マウスにおいてはそれぞれの純系が順調に維持できている。H1,H2受容体ダブルノックアウトマウスとH3受容体遺伝子ノックアウトマウスを交配させて、H1,H2,H3受容体ともにヘテロ遺伝子を持つマウスを作製した。雌雄のヒスタミンH1,H2,H3受容体ヘテロ遺伝子を持つマウスの交配により誕生したマウスの遺伝子型の頻度を調べている。理論的には27通りの組み合わせでマウスがそれぞれ誕生するはずであるが、H2受容体のみがノックアウトされたマウスは誕生した334匹の中にいない。H2受容体欠損が分娩・出生に関係することが示唆されている。現在さらに受容体多重遺伝子改変マウスの純系を作製し、H1,H3受容体ダブルノックアウトマウスがその先陣を切り誕生したところである。H1受容体ノックアウトマウスとH2受容体ノックアウトマウスは野生型マウスに比べ日内リズムに乱れがあるが、H3受容体ノックアウトマウスは日内リズムが保たれているなど生体機能の基本的な部分に受容体の個性が現れることが示唆されている。そのため行動薬理学的な観察をヒスタミン受容体多重遺伝子ノックアウトマウスの純系を用いて行い、その行動にどのような異常があるか明らかにしている。
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