研究課題/領域番号 |
18659159
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
日高 宏哉 信州大学, 医学部, 准教授 (10362138)
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研究分担者 |
勝山 努 信州大学, 医学部, 教授 (90020809)
太田 浩良 信州大学, 医学部, 教授 (50273107)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 准教授 (80238815)
赤松 泰次 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (80212413)
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キーワード | 脂質 / 蛋白 |
研究概要 |
本年度は、炎症性腸管疾患患者の代謝機序を明らかにするための分析法として、以下の1)〜4)に示す臨床検査に応用が可能な分析法を確立した。1)微量金属濃度と脂質、リポ蛋白代謝との関連を検索するために、ヒト血清中の生体微量金属(Zn、 Cu, Se)濃度の測定系を、原子吸光計を用いた高感度分析法による簡便法を確立した。2)血清アミノ酸は生体金属と複合体を形成している一方、蛋白質の修飾に関わっている。今回、血清中の遊離アミノ酸をガスクロマトグラフィー/質量分析機(GC/MS)を用いた短時間高感度分析法を確立した。1)、2)のこれらの方法により、健常者におけるミネラル・アミノ酸の吸収についての基本的データを収集した。3)蛋白質修飾に関わるシステインとホモシステインの含硫黄アミノ酸の分析法として、蛍光物質によるポストラベルHPLC法およびMALDI-TOF-MSによる分析法を確立した。本法により、栄養アセスメントにおける短期的な蛋白代謝指標となるトランスサイレチン(TTR)の含硫黄アミノ酸修飾による物理化学的な変化を明らかにできた。また、TTRの一部は、リポ蛋白と親和性を持つことも明らかにできた。4)炎症性腸管疾患患者の血清中脂質・蛋白の臨床化学検査から、炎症性蛋白CRPと脂質濃度は直接的な関連はなかったが脂質濃度は有意に低下しており、CRPは蛋白代謝指標のTTR濃度とは関連性を持つことが明らかになった。本研究により、血清中の脂肪酸組成の異なる脂質分子種の質量分析法およびアミノ酸修飾蛋白の質量分析法とHPLC法の分析法、生体微量金属(Zn、 Cu, Se)濃度の測定法を確立でき、これらの分析法から炎症性腸管疾患患者の脂質の腸管からの吸収、分布、異化についての分析が可能となり、病態変化と脂質代謝異常およびその作用機序の解明に応用ができる。
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