研究課題
本研究では、各食物繊維摂取後の呼気中に排出される水素、メタン濃度から、大腸内の発酵の有無と程度を推測し、腸内細菌叢をいくつのパターンに区分することを目的とする。平成19年度は、ラフィノース、難消化性澱粉の検討を行ったが、20年度はペクチン、セルロース、ラクツロースその検討を行った。平成21年度の実験手順は以下の様であった。(1) 対象者を3グループ(ペクチン、セルロース、ラクツロース)にわけ、各グループに各食物繊維20グラムを摂取させる。(2) 食後呼気採集バックで終末期呼気を300cc採集。操作を39分毎に食後15時間迄実施。(3) 呼気ガス中の水素、メタン濃度をガスクロマトグラフィーにて測定。(4) 同時に全対象者の腸内細菌(光岡方式による13種類)を培養法で同定。(5) その結果、水素発酵の有無で以下の3パターンに分類された。1群 : ラクツロース・ペクチン発酵、セルロース非発酵群(4例)2群 : ラクツロース発酵、ペクチン・セルロース非発酵群(7例)3群 : ラクツロース・ペクチン・セルロース非発酵群(3例)腸内細菌叢に関して3群を比較すると、Clostridia(lecithinase negative)が1群で他の群より有意に高い陽性率を示した。そのためクロストリジウムが呼気水素の上昇(発酵の有無)に関係する可能性が示唆された。以上より、食物繊維摂取後の呼気水素を測定することで、腸内細菌の状態を推測する可能性が示唆された。
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