1.アンチセンス産生プラスミドの作成 ベロ毒素I型およびII型(VT1、VT2)遺伝子の一部をPCR法で増幅した。pUC118プラスミドのlacZ遺伝子ターミネーターから下流を増幅し、上記増幅した遺伝子を逆方向にライゲーションさせた。電気泳動により、正しくライゲーションされたバンドのみを切り出して精製後、毒素遺伝子3'側とpUCプラスミドのlacZプロモーター領域3'直下のプライマーを用いたPCRを行い、ターミネーターに逆方向にライゲーションした遺伝子を、ターミネーターと一緒に増幅した。 pUC118プラスミドのlacZ遺伝子プロモーター部位と、ファージ組み込み領域(IG)を含む部分をPCRで増幅し、プロモーター下流に、上記ターミネーターを結合させた逆方向のベロ毒素遺伝子を結合させた。電気泳動により、正しくライゲーションされたバンドのみを切り出して精製後、このDNAを再度PCRで増幅してライゲーションし、ベロ毒素アンチセンスRNAを産生する環状プラスミドDNAを作成した。 一連の遺伝子構築により、この最終段階のPCRで使用するプライマーの位置で、任意の長さのアンチセンスRNAが産生されるよう操作することが可能となった。また、これまでの操作はすべてin vitroで行い、大腸菌への組み込み操作は行わなかった。 2.大腸菌の選定 北海道内の複数の研究施設に、VT1あるいはVT2のいずれかを産生し、F'プラスミドを持つ菌株の検索を依頼した。260株の大腸菌を検査し、条件に該当する6株が選択された。
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