[目的]本研究では、一般ボランティアを対象として、(1)心理的要因と生体指標が関連する、(2)加齢に伴って心理的要因と生体指標の関連が変化する、という2つの仮説を検証することを目的としている。本年度は(1)について検証した。 [方法]仙台市内の大学生ボランティア67名(男性33名、女性34名)に対して、下記1-3について調査した。調査時間は生体指標の日内変動を考慮し、午前9時から11時までとした。 1.問診(健康状態、疾患既往歴、服薬情報、血圧・心拍数[血圧計により3回連続測定]) 2.アンケート調査(基本特性、心理的質問票[抑うつ、不安、幸福感]、生活習慣) 3.採血(生体指標[PAI-1、ACTH、コルチゾール、IL-6、高感度CRP、血中総タンパク、白血球数等]) 統計解析は、心理的質問票の下位尺度のスコアと生体指標(血圧、採血指標)について相関分析(Pearson法及びSpearman法)を行った。 [結果]男女とも一致して心理的質問票の下位尺度と生体指標の間で有意な相関(Pearson法及びSpearman法)が示されたのは、抑うつと血中総タンパク(r=0.27、r=0.25)であった。男性のみ心理的質問票の下位尺度と生体指標の間で有意な相関が示されたのは、抑うつと白血球数(r=0.56、r=0.38)であった。女性のみ心理的質問票の下位尺度と生体指標の間で有意な相関が示されたのは、不安と心拍数(r=-0.43、r=-0.39)、抑うつと心拍数(r=-0.40、r=-0.39)、幸福感と心拍数(r=0.46、r=0.36)であった。その他の心理的質問票の下位尺度と生体指標の有意な相関は示されなかった。今後、今回有意な関連が示された項目を中心に、加齢に伴い両者の関連が変化するかどうかを検討する予定である。また、3大疾病死亡数の激減を目指した新たな介入方法の確立も目指す。
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