背景:抗うつ剤抵抗性で慢性に経過するうつ病に対しては、現時点では、リチウム増強療法や修正型電気けいれん療法が多少のエビデンスを有しているとして認められ、さらに近年は反復性経頭蓋磁気刺激や迷走神経刺激法などが新たな生物学的治療法として関心を集めているが、いずれも満足すべき結果は得られていない。一方、慢性のうつ病に対する治療法として、認知行動療法があらためて注目を集めている。 目的:そこで本研究では認知行動分析システム精神療法(CBASP)日本語版の施行方法を開発確定し、施行マニュアルを作成し、20例程度のオープントライアルを行なう中でCBASPに本語版の効果と作用機序につい実証的に検討する。さらに、本主任研究者がCBASP創始者(米国バージニア州立大学ジェームズ・マカロウ教授)によるスーパーヴィジョンを受けた上で、日本でスーパーヴィジョンを行う体制を構築し、治療者の精神療法能力の評価を行いつつ品質管理を行える方法を確立することを目的とする。 対象:名古屋市立大学病院こころの医療センター通院中の慢性うつ病患者 結果:(1)日本の実情に合わせることに留意しながら、CBASPの施行マニュアルおよび患者マニュアルを作成した (2)本研究の施行について本医学研究科の倫理審査季員会の審査を受け、認可された。 (3)そして薬剤抵抗性の慢性うつ病患者を対象としたオープントライアルを開始し、現在4例目の治療が進行中である (4)マカロウ教授によるスーパーーヴィジョンをインターネットTV会議を利用してほぼ週に1回の割合で受け、本主任研究者は認定CBASP治療者の認定を受けた (5)認知行動療法全般の指導方法の習得のため、Beck Instituteのワークショップに参加し、人行動療法のスーパーヴィジョンを受ける体制を考案しつつある 考察:治療効果の計量的分析をするにはまだ症例数が少なく、時期尚早であるが、日本の実情にあった施行方法およびスーパーヴィジョン方法につながるデータおよび経験が得られた
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