抗うつ剤抵抗性で慢性に経過するうつ病に対する治療法として、認知行動療法があらためて注目を集めている。そこで本研究では認知行動分析システム精神療法(CBASP)日本語版の施行方法を開発確定し、施行マニュアルを作成し、オープントライアルを行うこととした。さらに、本主任研究者がCBASP創始者(米国バージニア州立大学ジェームズ・マカロウ教授)によるスーパーヴィジョンを受けた上で、日本でスーパーヴィジョンを行う体制を構築することを目的とした。 結果、(1)薬剤抵抗性の慢性うつ病患者を対象としたオープントライアルを5例の患者に対して行った。1例は脱落、他の4例はベースラインから治療終結時でBDI2がそれぞれ32点から12点、37点から22点、39点から36点、28点から10点と4例中3例で著明に減少した。 (2)本主任研究者は認定CBASP治療者の認定を受け、引き続きマカロウ教授によるスーパーヴィジョンをインターネットTV電話を利用してほぼ週に1回の割合で受けた (3)これらを通じ、日本でCBASPを施行するためのマニュアルー式を完成した (4)対面でなくともインターネットTV電話によってスーパービジョンが十二分に機能することが確認された。 以上より、日本でCBASPを施行するための準備が完了し、またプレリミナリーだが治療抵抗性で慢性化したうつ病でも5例に3例には顕著な改善が期待できることが判明した。さらに対面でなくてもインターネットを介してスーパービジョンが行えるので、広く全国に均霑化する方途が開かれた。
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