研究概要 |
肝がん細胞の起源となる可能性がある骨髄及び肝細胞のマーカー遺伝子を用いることによって、その動態をin vivoで探索するとともに発がんに至る分子機構の解明を目的とした。本年度は、マーカー遺伝子をもった骨髄細胞によって慢性肝炎モデルを構成することによって、肝細胞の再構築における骨髄細胞の関与を観察するとともに、慢性肝炎の過程で出現してくる肝がん細胞が骨髄細胞、肝細胞、または両者の融合細胞のいずれに由来するかを明らかにするために以下の実験計画を実施した。 (1)慢性肝炎モデルの作成: Diethylnitrosamine化学発がんモデル(♂)(Lab. Invest 85:655,2005)において、放射線照射(900 cGy)したのちに同系統(C57BL/6)のGFP遺伝導入マウス(♀)の骨髄細胞(1x10^7個)を経静脈的に移植した。これより、骨髄細胞、血球がGFPマウス由来の細胞で置換されていることをフローサイトメトリーを用いて確認た。また移植1週間後から50μg/LのDEN飲水によって、4ヵ月の経過で発がんした。 (2)肝細胞、肝がん細胞におけるマーカー遺伝子の検出: 肝組織中のGFPタンパク陽性細胞の出としてホルマリン固定、未固定(OCTコンパウンド包埋)の肝組織を用いて、励起光下で観察した。GFPタンパクの発する蛍光が微弱であることから定量性に劣ることが分かった。そこで、抗GFP抗体による高感度検出法を確立している。
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