研究概要 |
我々は、dominant inhibitory型Helix-Loop-Helix型の転写制御分子であるHuman Homologue of Maid(HHM)をクローニングし、肝発癌における役割の解析を行ってきた。その結果、HHMは肝前癌性病変Adenomatous hyperplasiaで発現が増加しており、肝前癌性病変のマーカー蛋白となり得ること、そして、HHMの強制発現により細胞のreplicationが促進され、HHMが肝発癌をinitiateする分子であることを明らかにした(Gastroenterology128,1369-1380,2005)。以上より、HHM蛋白の発現制御とその機能解析を通じて、肝発癌機構の解明に迫れると考えられ、今回我々は、メダカモデルを用いた癌幹細胞の分化制御機構に関する研究を行った。今年度、HHM-TGメダカの作製に取り組み、現在、F1、F2世代まで進行している。さらに、5'RACEおよび3'RACEによりHHMのZebrafish Homologueを同定した。これらにより、メダカとゼブラフィッシュを用いたHHMの検討を推進する基盤ができたと考える。また、メダカコリン欠乏アミノ酸置換食モデルの検討により、本モデルとヒト非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の類似性を見出した。その成果はアメリカ肝臓学会(AASLD)およびアジア太平洋肝臓学会(APASL)という国際学会で報告した。
|