本研究では、マウスの消化管形成プログラムを進化発生学的なアプローチで明らかにしようとするものであり、今年度は特にカタユウレイボヤ、ニワトリを用いて解析を行った。 1.カタユウレイボヤを用いた内胚葉系譜特異的な遺伝子網羅的解析 カタユウレイボヤの32細胞期の予定内胚葉(32細胞期胚のA6.1割球)と対照実験として32細胞期胚の予定神経索/脊索の細胞(32細胞期胚のA6.2割球)から抽出したRNAを用いてマイクロアレイを行った。得られた候補遺伝子について、ホヤの初期胚を用いてin situ hybridization法により局在パターンについての検証を行った。 2.膵前駆細胞が運命決定する前後の遺伝子網羅的解析 ニワトリ胚を用いて、内胚葉成立したステージ4から膵前駆細胞が出現するステージ10の間の内胚葉の挙動を観察し、膵臓の起源となる領域をこれまでに決定している。本研究では、同時期の異所的な移植実験、あるいは異なる発生時期の移植実験などを用いて、膵臓の前駆細胞の分化決定の時期を明らかにした。分化が決定される前後の膵臓前駆細胞。胃や腸の前駆細胞を対照実験としてそれぞれ初期胚より切り出し、RNAを抽出し、遺伝子チップを用いた遺伝子発現プロファイル解析を行った。 3.膵臓の分化誘導シグナルの探索 膵前駆細胞の移動経路にある裏打ちの中胚葉(体節)について、運命決定前後の時期に接触している(接触する予定)体節を前後軸に沿って大まかに分けて、分化誘導活性について検討を行った。分化誘導活性を有する時期とそれ以前の時期の2つのステージについて、胚より組織を切り出し、同様に遺伝子チップを用いた遺伝子発現プロファイル解析を行った。
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