研究課題/領域番号 |
18659228
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
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研究分担者 |
山本 健 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50363122)
池田 安宏 山口大学, 医学部, 助手 (00260349)
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キーワード | 拡張不全 / タイチン / 筋小胞体 / カルシウム / リアノジン受容体 |
研究概要 |
高血圧やRAS系の亢進等により肥大した心筋において、さらに過剰な交感神経刺激(β刺激)が加わると、PKAによるRyR2の過リン酸化→FKBP12.6のRyR2からの解離→拡張期Ca2+ leakが生じ、titinの発現亢進を介して左室スティフネスは増大し、拡張不全に至るという仮説を検証するために、大動脈の縮窄ラットに、isoproterenolによるβ受容体刺激を慢性的に加え拡張不全を呈するか否かを検討した。腹部大動脈(SMAと腎動脈の間)を0.8mmのオクルーダーを用い狭窄を作成、banding2週目より、浸透圧ポンプを植え込み低用量isoproterenol(ISO)を1mg/kg/dayで4週間負荷した。大動脈bandingにより左室圧は上昇、左室肥大を呈した。ISO負荷群ではbanding単独群に比し、左室圧、左室肥大は同程度であるものの、左室弛緩は高度に障害されており(Tauの延長、心エコー上E/Aは増大)、左室コンプライアンスも低下の傾向を示していた。titinの蛋白発現量はISO負荷群で多い傾向にあった。心筋組織の繊維化の程度にはISO負荷群と非負荷群で有意な差が無いため、左室コンプライアンスの低下には、titinの蛋白発現増大に伴うdynamic stiffnessの増大が関与していることが示唆される。以上、慢性的なβ受容体刺激が、titinの蛋白発現量を増大し、肥大心筋の拡張期特性を障害する可能性が示唆された。
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