これまでに、In vitroで心筋に誘導されたヒト間葉系幹細胞(hMSC)は比較的高率に自動能を有していることを確認している。それら優良な移植源で細胞シートを作製し、細胞特性を評価することが最終目的となるが、今年度においては移植に耐え得る細胞シート作製法を確率することを優先した。周産期ラット心臓をトリプシン処理にて単離、一般的な方法によって細胞培養を行った。培養された細胞はほぼ4-7日程度の培養にて、細胞シートの構造を呈するようになり、移植に耐えられる構造を取った。細胞シートは厚みが薄ければ虚血にはなりにくく、伝導速度も低い。逆に厚ければ虚血となりやすく、伝導速度が早くなる事が予想されたため、ラット心筋細胞シートを剥離直後に1から4枚を重ね合わせ、30分程度CO2 incubator内で結合させる事によっての厚みの異なるラット心筋細胞シートを作製した。房室ブロックを生じているNudeRatに対して幾つかの異なった厚さで細胞シートを作製し移植を繰り返しすことで移植に最適な細胞シートの厚みを決定した。移植一週間後にホスト心臓を摘出し、4%パラフォルムアルデヒドで固定後、一部をH/E染色、Siriusred/fast green染色、Masson'strichrome染色による房室結節線維化の評価を行った。免疫組織科学的検討により、ラット心筋細胞シートがほぼ房室間溝にそって移植されている事を確認するとともに、抗Actinin抗体、Cardiac troponin-I抗体を用いて心筋構造を、またConnexin 43による染色によって電気的結合を組織学的に確認出来た。横紋構造の確認及び、ギャップ結合の確認はオリンパス社のコンフォーカルレーザー顕微鏡(FV-1000)を用いて行った。
|