研究分担者 |
半田 康延 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00111790)
関 和則 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20206618)
田中 明 福島大学, 共生システム理工学類, 助教授 (10323057)
杉田 典大 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (90396458)
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研究概要 |
最近われわれが独自に開発した足で漕ぐ方式の新しい車椅子であるサイクリングチェアは,片麻痺患者を対象とする場合,健常側の片足による駆動にも関わらず,手漕ぎ式車椅子に比較してその走行能力が格段に向上することが明らかとなっている.また,脳機能障害者で介助者なしでは自立歩行ができない患者であっても,安全な環境においてサイクリングチェアの訓練を続けることができれば,少なくともサイクリングチェアによる自立移動ができるようになる可能性がある. そこで本研究では,仮想空間内を走行するサイクリングチェア(バーチャル・サイクリングチェア)を構築し,脳卒中等による脳損傷を原因とする高次脳機能障害の代表的な症状である半側空間無視・地誌的障害(場所の認識の障害)などの定量的な検査ができるようにするとともに,サイクリングチェアの運転訓練によるリハビリを行うことにより,運転技能・筋力・体力の向上を目指すとともに,リハビリの効果を定量化できるようにすることを目的とした. 本年度では,まず,片麻痺患者の運動特性に適した電動モータによるアシスト付き臨床実験用サイクリングチェアを製作した.つぎに,これと組み合わせるためのVRシステムを構築することにより,バーチャル・サイクリングチェア・システムの基本環境を作った.本システムでは,仮想空間の状況に応じたトルクをモータに発生させることができ,上り坂や下り坂,道路の細かい凹凸に応じた感覚を被験者の足に加えることができる.また,麻痺側の駆動のときにのみアシストするためのトルクを自動的生成できる.さらに,麻痺側の手指にフォトセンサを装着することによって,リハビリ中の光電脈波を計測し,心拍数と脈波面積を解析できるようにした.これによって,リハビリの効果が麻痺側の血行動態に与える変化および自律神経系特性の長期的な変化を定量化することができると期待される.
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