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2007 年度 実績報告書

スギヒラタケ関連脳症における3ニトロプロピオン酸の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18659255
研究機関秋田大学

研究代表者

和田 千鶴  秋田大学, 医学部, 助教 (40256590)

研究分担者 豊島 至  秋田大学, 医学部, 教授 (80108951)
キーワードスギヒラタケ / 急性脳症 / 中毒 / 3-NPA / 真菌
研究概要

スギヒラタケ関連脳症は,スギヒラタケ摂食後意識障害,痙攣をきたし,脳画像所見で両側基底核病変を認める致死的な疾患である。これらは中国で流行したサトウキビカビ脳症にきわめて類似している。われわれはサトウキビカビ脳症の原因物質である3-ニトロプロピオン酸(3-NPA)のスギヒラタケ関連脳症への関与を検討した。その結果、患者血清,髄液,スギヒラタケに3-NPAの有意な高値を認めず,また,付着真菌のいずれも3-NPAを産生しなかった。
両側基底核病変を起こす可能性のある毒素は3-NPAの他にも数多く存在し,いずれもミトコンドリア毒素であり,基底核の酸化ストレス脆弱性に関連すると考えられている。ヒトの中毒例がない物質でも,実験動物で両側基底核病変が証明されており,今後,原因物質として検討に値する。
一方,スギヒラタケは従来無毒のキノコであり、スギヒラタケ関連脳症はサトウキビカビ脳症と比べると,摂食から神経症状出現までの潜伏期が日単位と長く,不定である。摂食したスギヒラタケの量と重症度が相関しない。サトウキビカビ脳症と異なり,発熱,髄液細胞数増多を伴う炎症反応が強い症例も多いなど従来の中毒疾患として説明できない事項が多い。
また、脳症患者は腎不全を高率に合併した。腎不全には種々の代謝異常、易感染性・免疫異常が現れるとされている。これらの異常が脳症発症に関与した可能性が考えられる。しかし、スギヒラタケを摂食した腎不全患者のうち、脳症発症者は2〜3%に過ぎないという事実から、脳症発症者個体としての免疫応答の異常や毒性物質代謝酵素活性低下についての検討も必要と考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Acute encephalopathy associated with ingestion of a mushroom, Pleurocybella porrigens (angel's wing), in a patient with chronic renal failure (a clinicopathological study).2008

    • 著者名/発表者名
      Koji Obara, Chizu Wada, Itaru Toyoshima
    • 雑誌名

      Neuropathology 28

      ページ: 151-156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 謎の脳症(スギヒラタケ事件))2007

    • 著者名/発表者名
      豊島 至
    • 雑誌名

      救急・集中治療 19

      ページ: 520-526

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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