研究課題/領域番号 |
18659259
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飛松 省三 九州大学, 医学研究院, 教授 (40164008)
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研究分担者 |
緒方 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50380613)
山崎 貴男 九州大学, 大学院・医学研究院, 特任助教 (70404069)
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キーワード | 漢字・仮名処理 / 難易度 / 小細胞系 / 大細胞系 / 空間周波数フィルタリング / 事象関連電位 / 経頭蓋脳直流電気刺激 / 脳仮想病変 |
研究概要 |
【目的】漢字・仮名を画像フィルタリング処理し、視覚の小細胞系(高空間周波数情報、HSF)と大細胞系(低空間周波数情報、LSF)を選択的に刺激できる漢字・仮名を作成する。次に言語認知に対する両系の役割を事象関連電位(ERP)により明らかにする。 【方法】対象は右利き健常成人14名である。実験1:(1)易しい漢字(易)、(2)難しい漢字(難)、(3)仮名(語)、(4)仮名(非語)の未処理画像(BSF)をランダムに800ms呈示し、128チャンネル高密度センサー脳波計によりERPを記録した。実験2:(1)-(4)のHSF、LSF画像を呈示した時のERPを記録・解析した。 【結果】実験1:後頭部P100では、全刺激で振幅、潜時とも左右差を認めなかった。また仮名(語)と漢字(易)との間で振幅の差(仮名>漢字)を認めた。側頭部N170では、漢字(易)、仮名(語)、仮名(非語)で有意に左側の振幅が高かった。またN170潜時は仮名が漢字よりも有意に短かった。頭頂部N400では、漢字間および仮名間で有意な潜時の差を認めた(漢字(易)<漢字(難)、仮名(語)<仮名(非語))。実験2:P100はLSF-HSFともBSFと同様に、振幅、潜時とも左右差を認めなかった。また、LSFがHSFよりも優位に潜時が短かった。N170の潜時は、LSFで仮名(語・非語)が漢字(易・難)より短かった。N400の振幅は、HSFで漢字(易)が漢字(難)より有意に大きく、LSFで仮名(非語)が仮名(語)より大きかった。 【結論】漢字・仮名認知の差は、(1)文字特性からは、P100は物理学的形態特性、N170は文字の形態特性、N400は漢字の難易度や使用頻度を反映する、(2)視覚経路の観点からは、小/大細胞系が関与しており、漢字の難易度の処理にはHSF情報がより関与し、仮名の形態処理と意味処理にはLSF情報がより関与する。
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