研究概要 |
マウスでは不可能であった組織因子(Tissue Factor: TF)やその他の血液凝固因子の血管・リンパ管形成作用の詳細について,アフリカツメガエル(Xenopus)のオタマジャクシを用いた新しいモデルで明らかにした。XenopusのTF(Xeno-TF)や血管およびリンパ管の内皮細胞に特異的なマーカーとして各々,Msr(mesenchyme-associated serpentine receptor: G蛋白共役型受容体)およびProx1(prospero-related homeobox1:転写因子)の遺伝子クローニングを行った。興味深いことにTF遺伝子として2種類のcDNAが単離され、CHO細胞で強制発現させて生化学的に解析した結果、両遺伝に強いTF活性が証明され、TFが単一である哺乳類凝固系とは全く異なる凝固開始機序が示唆された。MsrおよびProx1遺伝子の発現動態をin situ hybridization法により解析し,また、ローダミンあるいはFITCで蛍光ラベルしたデキストランのマイクロインジェクションによる血管・リンパ管造影により、血管・リンパ管形成過程の時間依存的な解析法を確立した。さらに、各遺伝子を大腸菌で発現させ、タンパク質を大量に精製して家兎を免疫し、抗体を作製した。これらを用いて、免疫組織染色で各組織・細胞における発現動態を解析した。各々の遺伝子の翻訳開始部位およびスプライス部位に対するモルフォリノ修飾アンチセンスオリゴを作製し、これらの遺伝子発現を特異的に阻害(ノックダウン)することに成功しており、現在、血管・リンパ管形成に与える影響を解析中である.
|