昨年度のIL-27Tgマウスを用いた実験結果より、IL-27がマウス造血幹細胞CD34^-KSL(CD34^-/c-Kit^+/Sca-1^+/Lin^-)細胞の増殖と分化の制御に関与している可能性が示唆された。そこで、今年度は野生型マウス骨髄より精製したCD34^-KSL細胞を用いてin vitroでのIL-27の効果について検討した。まず、RT-PCRおよび抗TCCR(IL-27R)抗体を用いた免疫染色により、CD34^-KSL細胞でIL-27R(WSX-1/TCCRとgp130)の発現が見られることがわかった。そこで、CD34^-KSL細胞を無血清培地でSCF存在下IL-27と共に培養すると、細胞数が顕著に増加し、2週間後にFACS解析を行うと、Mac-1およびGr-1を若干発現するミエロイド系の未成熟細胞と、細胞表面マーカーはCD34^-KSLのままの細胞が増えていた。そこで、次に同様にCD34^-KSL細胞をIL-27とSCFで1週間培養した細胞と、精製してきたばかりのCD34^-KSL細胞を、野生型マウス由来の骨髄細胞をCompetitorとして、放射線照射したマウスに移植する競合的骨髄再構築法により再構築した細胞を解析すると、IL-27とSCFで増えた細胞は、短期間の自己増幅能を有していることがわかった。また、IL-27Tgマウス由来の骨髄細胞と野生型マウス由来の骨髄細胞の自己増幅能を競合的骨髄再構築法により比較すると、IL-27Tgマウスの骨髄細胞は、CD34^-KSL細胞の割合が著明に増えているにもかかわらず、自己増幅能には両者で差がほとんど見られなかった。以上の結果より、IL-27は、CD34^-KSL細胞の細胞増殖を誘導し、細胞表面マーカーはCD34^-KSLとほとんど変わらないが自己増幅能はほとんど消失した細胞や、ミエロイド系に若干分化した未成熟な細胞を増やしていることが明らかになった。
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