研究課題
比較ゲノム学的検討は、形態形成遺伝子の時期・部位特異的な遺伝子発現を規定する遺伝子配列を同定するために効果的な方法であると期待されている。種間で高度に保存された非翻訳領域(Conserved non-coding element、以下 CNE)の配列が候補領域と考えられる。本研究では、Townes-Brocks症候群の原因遺伝子SALL1の遺伝子内のCNEの系統的な検討を行った。CNEに相当するDNA断片をGFPと最小プロモータを有するレポーターカセットに挿入し、初期ニワトリ胚(gastrula期,neurula期,pharyngula期)にエレクトロポレーション法によって遺伝子導入した。複数のCNEについて検討を行った結果、443塩基対長のCNEが、組織特異的なエンハンサー活性を有することを示した。neurula期には前脳に、pharyngula期にはanterior neural ridgeにGFP蛍光を認めた。anterior neural ridgeは前脳発生におけるシグナリング・センターと考えられている重要な部位である。さらにエンハンサーエレメントが遺伝子発現を規定している領域と内在性遺伝子発現領域を比較するため、in situ hybridization法によるニワトリSALL1遺伝子発現パターンの検討を行った。ニワトリ胚におけるin situ hybridizationを行う際のクローンとして、英国MRCのニワトリESTライブラリークローンを利用した。in situ hybridization法により胎生期中枢神経系におけるSALL1遺伝子発現を確認することができた。
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Pediatric Research (In press)