不登校や学習障害、自閉症など、小児期や思春期に問題となっている疾患に概日リズムの異常関与が示唆されている。概日リズムは出生直後には不明瞭であるが、出生後の中枢神経系の発達に伴い、外部の環境(光や母親の行動など)と同調し、成熟型のリズムを示すようになる。しかし、概日リズムの成熟過程には不明瞭な点が多い。本研究では、ラット新生仔の腹腔内に深部体温を測定する無線送信器を留置し、成熟するまでの長期間、継続して深部体温を観察して概日リズムの変化を観察した。 妊娠SDラット(n=6)を出産させた後、仔を10匹に間引いた。そのうち1匹の仔(雄)を生後10日または11日に深麻酔し、信器を腹腔内に留置した。麻酔からの回復を確認した後、母獣および同産仔のいるケージに戻した。各ケージを受信ボード上にのせ、12時間/12時間の明暗周期下で飼育し、仔の深部体温を5分毎に測定した。3週齢(21日)で離乳し、送信器を留置したラットだけを個別ケージに移し、再び受信ボードの上で飼育して深部体温を11週齢になるまで測定した。深部体温データの変化を解析したところ、離乳までは体温の変動が不安定で、深部体温の概日リズムが不明瞭であったが、離乳直後から体温が安定し、次第に明瞭な2相性の概日リズムを示すようになった。よって、概日リズムの発達には離乳が影響している可能性が考えられることから、次年度は離乳の時期をずらして観察を行うなどして、概日リズム発達の詳細を明らかにしたい。
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