研究課題/領域番号 |
18659314
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (20101074)
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研究分担者 |
中西 圭子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (50280813)
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キーワード | コンドロイチン硫酸 / 細胞環境分子 / 脳障害 / 神経細胞死 / オリゴ糖 / NMDA受容体 / 神経幹細胞 / FGF-2 |
研究概要 |
本研究の最終目標は、発達期の脳の主要な細胞環境分子であるコンドロイチン硫酸糖鎖に由来する生理活性オリゴ糖を利用して、周生期脳障害の治療を行うことである。この目標に向かって、本年度は以下の成果をあげた。 1.生存維持オリゴ糖の特定 高硫酸化コンドロイチン硫酸CS-Eが、グルタミン酸誘発神経細胞死を抑制することを、神経細胞の培養系で見出している。グルタミン酸誘発神経細胞死は、脳の損傷時や疾患で普遍的に見られるため、これを抑制する薬剤の開発は急務である。こめ活性を発揮する最小の分子サイズを決定するため、CS-Eを電子線照射し、3kDaから75kDa(出発分子)までの様々なサイズの糖鎖を調製した。グルタミン酸受容体アゴニストであるNMDAを添加して神経細胞死を誘発する培養系に、これらCS-E由来低分子量糖鎖を添加し、細胞死抑制効果を測定した。3kDaでは活性が認められなかったが、6kDaを越えると活性が出てくることが明らかとなった。 CS-Eの添加の有無で、パッチクランプ法により神経細胞のNMDA誘発電流を測定したが、電流に差はなかった。したがって、CS-EがNMDA受容体の活性を阻害しているのではないこともわかった。 2.増殖促進オリゴ糖の特定 私達は、CS-Eには、増殖因子FGF-2に依存した神経幹細胞の増殖を促進する活性があることを報告している。このCS-Eによる増殖促進活性は、3kDa以上の大きさを持つオリゴ糖に検出された。 一方、水晶発振子マイクロバランス法により、CS-EはFGF-2に親和性を持つことがわかった。そこで、CS-EがFGF-2に対する親和性と増殖促進活性に相関があるかを調べたところ、高い親和性を持つCS-E画分に高活性が認められた。
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