研究概要 |
これまで遷移金属である白金を数nmサイズに極小化すると(白金ナノクラスター)触媒として作用し、in vitroの実験において飛躍的に活性酸素消去能を呈することを発見し、白金ナノクラスターをゲル軟膏化することにも成功した。 本研究では白金ナノクラスターを経口投与、経皮投与することにより、アトピー性皮膚炎モデルマウス及び光過敏性皮膚炎モデルマウスにおける炎症の抑制効果を評価した。 Balb/c系マウスを各群4匹として用い、ニューキノロン系合成抗菌薬のロメフロキサシン(LFLX、光感作を引き起こすことが知られている)を用いて光感作による皮膚炎に対する本発明の医薬の作用を検討した(Tokura, Y et al., J.Immunol.,160,pp.3719-3728,1998; Watanabe, H., et al., J.Biol. Chem.,279,pp.1676-1683,2004)。LFLX 2mg/0.2ml(i. p.)を投与したマウスにUVA(12 J/cm^2)を腹部剃毛部に照射して光感作を行った。2%のカルボキシビニルポリマーを含む水溶液に1mMのPAA-Ptを加えてゲル軟膏を調整し、感作の翌日から5日目(5日目は光照射後に塗布)まで0.3/earを耳介両側に塗布した。陽性対照には2%(w/w)カブロキシビニルポリマーのみを塗布した。5日目に2mg/0.2mlのLFLXを腹腔内(i. p.)投与し、UVA(20 J/cm^2)を両耳介に照射した。非感作群については5日目に2mg/0.2ml(i. p.)のLFLX投与とUVA(20 J/cm^2)照射のみを行った。その結果、照射24時間後(6日目)の白金コロイド塗布群において有意に陽性対照群と比べて耳介腫脹は弱かった。また、UVA(20 J/cm^2)照射10日目の発赤を観察したところ、白金コロイド塗布群において明らかに耳介の紅斑、腫脹は軽快した。
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