研究概要 |
本研究の目的は、sh-RNA法とレンチウイルスベクターの技術を融合したノックダウンマウスの作製法を樹立することである。この技術が確立されれば低コストで短時間に多くの遺伝子の機能が抑制されたマウスを作製することが可能となり、皮膚領域のみならず生物、医学研究の発展に大きな貢献ができるのではないかと考えられる。具体的にはプロトタイプモデルとしてToll-like recptor(TLR)アイソタイプを同時に抑制するトランスジェニックマウスを作成する。 1. TLR2,TLR3の発現を効果的に抑制できる配列を培養細胞にて確認する。どの部位を標的とするかはアルゴニズム解析ソフトウエアを用いて予測した。Off-target効果、配列によるsequence確認の難易度、ヘアピン形成時の安定性などを考慮しin silicoにてできるだけ多くの情報を集め各種アルゴニズムに共通する効率が高いと思われた配列をそれぞれ3種類決定した。コントロールにはそれぞれのスクルランブル配列を用いた。sh-RNAはセンス鎖およびアンチセンス鎖の間にリンカー配列を挟んで一本鎖として発現させリンカーによりループを作り、ヘアピン状の二本鎖を形成するように設計しオリゴヌクレオチド合成装置により合成した。このオリゴ配列をpLe-U6i.CAG-PuroR vectorの中にサブクローニングを行った。 2.E. coli TOP10Fにheat shockにて導入後アンピシリンにて選択し、陽性クローンを少量精製し挿入部位のsequenceをABI sequencerを用いて配列を確認した。ミディプレップキットにて精製し、sub-cocnfluent状態になった293T細胞にpLe-U6i.CAG-PuroR vector, pCMV-Rev, pMDLg/pRRE, pCMV-VSVGを同時にlipofectamin2000を用いてtransfectionを行った。48時間後に上清を回収し5,000rpm,4℃,5minにて遠心し45micron filter濾過を行い、続いてスイングロータを用いて超遠心機にて30,000rpm,4C,2h遠心し沈殿物をPBSにて溶解した。ウイルス・タイターはHIV p24 ELISA kitを用いて簡易計算した。次年度はこのウィルスベクターを角化細胞に導入し、抑制効果を確認後、トランスジェニックマウスを作製する予定である。
|