一般的に抗原蛋白/ペプチドで免疫した場合にはそれらの抗原は樹状細胞等の抗原提示細胞(APC)に取り込まれ、リソソーム酵素でプロセッシングを受けることにより必然的にMHCクラスII分子に抗原提示されるためCD4^+T細胞は活性化されるが、癌や細胞内寄生病原体(結核菌、トキソプラズマ、マラリア等)に対する防御免疫に中心的役割を果たすMHCクラスI拘束性のCD8^+T細胞は誘導されない。 申請者等はそれらのペプチド抗原の遺伝子とプロテアソームへのTag分子であるユビキチンの遺伝子との融合遺伝子を用いてDNAワクチンを行うと効率的かつ強力に抗原特異的CD8^+T細胞が誘導されることをマウスを用いたメラノーマや肺癌の系およびトキソプラズマ感染の系で確認している。 本申請研究ではマウスメラノーマ(B16)の癌抗原遺伝子(TRP2)そしてメラノーマを含めた多種の腫瘍に発現する汎癌抗原遺伝子(Survivin)を各々ユビキチン遺伝子と融合させ、pIRESでこれら2種の融合遺伝子を結合させたキメラ遺伝子を作製し、このキメラ遺伝子を用いることにより2段階/two-stepのDNAワクチン効果が誘導されることを確認した。
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