研究課題/領域番号 |
18659329
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
森 志朋 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (70337153)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
馬場 俊右 岩手医科大学, 医学部, 助手 (70364362)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 免疫電顕 / 含水標本 / 密閉カプセル / 未脱水 |
研究概要 |
我々は、これまで(1)共焦点顕微鏡を用いた肥満細胞(ラット)の細胞内カルシウム濃度動態や顆粒放出現象、フリーラディカル生成のイメージング、(2)電子顕微鏡を用いて、様々な刺激を加えた肥満細胞の形態額的変化の観察を行ってきた。しかしながら共焦点顕微鏡を用いたイメージングは、電子顕微鏡に比べて解像度が低いという欠点があった。一方、電子顕微鏡では、脱水・乾燥・包埋の過程で各種物質の脱落・変性が起こり様々な情報が脱落していた。近年、含水性の高い標本を電顕観察出来るようになったことから、本研究では電顕観察用密閉カプセル(QX-102、Quantomix社)を用いて、ラット肥満細胞の含水標本観察を行った。肥満細胞の顆粒放出時には、果粒基質周囲に大きな空隙が生じ、果粒が細胞内から押し出される様子が示された。この細胞は種々の皮膚疾患において重要な役割を果たしていることから、分泌機能を解明することは皮膚疾患病態を理解する上で必要になってくる。そこで開口放出像に着目して実験をおこなった。 開口放出には細胞内カルシウムイオンの上昇が必須前提要件となっている。細胞外情報伝達物質としての意義を有するアデノシン3リン酸(ATP)で、ヒスタミンが遊離することが知られていることから、ATP刺激時のカルシウムイオン変動を観察したところ、一過性の上昇が認められた。しかしながらそれに引続く開口放出は見られず、通常の電子顕微鏡で観察すると約30nmの小孔が生じていた。 これはP2×7受容体刺激に伴うものと思われる。 【来年度の計画】新鮮皮膚標本の未脱水電顕観察を引続き試みる。しかしながら、実験に供するだけの新鮮材料を臨床現場から得ることは比較的難しいため、まず実験動物で試みる。また、今年度に見出したATP刺激による小孔形成であるが、P2×7の孔径は数nmと言われており、乾燥標本で発見した孔の径より極めて小さい。未脱水標本で、こうした小孔が観察できるかどうか、またその孔径がどのくらいかを測定したい。
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