研究概要 |
標的分子認識素子を金属RIで標識する場合,標的分子認識素子に配位子を結合させ,次いで金属RIにより標識を行う.この場合.RI標識される標的分子認識素子はごく一部であり,投与薬剤溶液中には未標識の標的分子認識素子を過剰に含むため,未標識体は.標的においてRI標識体と競合して,その集積を妨げる.テクネチウム-99m(^<99m>Tc)は二座または三座の配位子と1:2の混合配位子錯体を形成する.したがって,^<99m>Tcと標的分子認識素子結合配位子(一価)とが1:2の混合配位子錯体を形成して.二価の標識体を形成すれば標的への結合力が向上して未標識の標的分子認識素子配位子(一価)の影響を受けにくいと考えた.本研究では,本薬剤設計の妥当性を検討する.本年度は,混合配位子錯体を与える配位子の探索を目的に,D-penicillamine(D-Pen)とその構造異性体である1-amino-2-methylpropane-2-thiol-N-acetate(AMPT-N-acetate)を合成し,^<99m>Tcとの錯形成反応および得られた錯体の安定性を検討した.その結果,両配位子ともに高収率で単一の^<99m>Tc錯体を与えたが.^<99m>Tc-D-Pen錯体の方がリン酸緩衝液中で安定に存在することを認めた.そこで.D-Penを配位子基本骨格に選択し,D-Penに標的分子認識素子を導入するため.そのアミノ基に酢酸を結合したD-penicillamine-N-acetate(D-Pen-N-acetate)を設計・合成した標的分子認識素子として環状RGDペプチドを選択・合成し.現在,RGD結合D-Pen-N-acetateの合成を進めている.今後,^<99m>Tcとの混合配位子錯体を合成し,本薬剤設計の妥当性を検証する予定である.
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