研究概要 |
帝京大学ちば総合医療センター放射線部既設の1.5TeslaのMRI装置にて,脳拡散テンソル画像撮像を施行した.また,新たに拡散テンソル解析用ソフトウェア(Advantage Windows Functool 2)を導入した.まず,拡散テンソル画像の撮像条件の最適化を行った.拡散検出傾斜磁場方向の軸数を6から32まで設定して,大脳白質の描出や拡散係数値,拡散の生理的な偏りつまり異方性(anisotropy)を表す指標であるFA(fractional anisotropy)値を測定した.軸数を増やすに従って,拡散係数値やFA値は既知の値に近い値となった.また,視放線を中心とした主要な白質神経線維路を描出(tractography)し,やはり軸数が多い程既知の線維路に近い画像が得られた.軸数をさらに増やせばより良好な画像が得られる可能性が高かったが,撮像枚数が増大し,撮像時間も延び体動の影響が危惧され,軸数は15に決定した.正常人10名を対象として,脳拡散テンソル画像撮像を施行し,拡散テンソル解析用ソフトウェアを用いて,FA値・tractographyを中心としたデータ収集・解析を行った.具体的には,得られた画像を上記解析用ソフトウェア上に展開,関心領域を設定することによって,FA値を計測する.計測は同一人物が3回行い,平均値を代表とした.年齢による分散はみられたが,FA値は既知の値に近いものが得られ,当研究施設における標準値とした.現在,年齢を一致させた正常眼圧緑内障についても同様の解析を進めている.視力の評価,眼圧測定,視力以外の神経症状や,既往歴,家族癧についての検索,記録も施行している.
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