研究課題/領域番号 |
18659347
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澁谷 景子 京都大学, 医学研究科, 助教 (50335262)
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研究分担者 |
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40314182)
原田 浩 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助教 (80362531)
板坂 聡 京都大学, 医学研究科, 助教 (90378654)
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キーワード | 肺癌 / 放射線治療 / 分子標的治療 / 同所性移植モデル / イメージング |
研究概要 |
我々は、ルシフェラーゼ遺伝子を発現するベクターを導入したヒト肺癌細胞(Red-H441/5HRE-Luc cell)の移植マウスモデル、およびIVIS Imaging Systemを活用したモニタリングシステムを確立し、血管新生阻害作用をもつ分子標的薬ベバシツマブ(Avastin)と放射線による腫瘍の発育抑制効果や低酸素誘導因子HIF-1(hypoxia-inducible factor-1)活性の変動をリアルタイムに観察することに成功した。これによりベバシツマブ投与後のHIF-1活性が2峰性の変動を示し、かつ放射線との併用のタイミングによって、発育抑制効果に差があることを確認した。また、これらの差が生じる一因として、組織学的にもアポトーシス、新生血管の濃度(microvessel density)に差があることを確認した。これらの結果により、最適な投与のタイミングを検討することで併用療法の有効性を高められることが明らかとなった。また、新規抗癌剤であるS-1と放射線を併用した際の抗腫瘍効果として、血管新生阻害作用があることを組織学的に確認した。その機序のひとつとして、放射線によりHIF-1活性が誘導されること、S-1併用により、その活性が抑制されることを上記システムにより確認することができた。HIF-1は低酸素状態で誘導され、血管新生や転移、増殖に関する様々な因子を誘導することから、放射線や多くの抗癌剤に対する抵抗性獲得に深く関わっていることが知られている。従来より肺癌への有効性が認められている抗癌剤パクリタキセルにおいても肺癌細胞への感受性がHIF-1活性により影響を受けることが明らかにすることができた。肺癌の治療における放射線と分子標的治療薬・抗癌剤の併用スケジュールを考えるのに有用なデータであると考える。
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