研究課題/領域番号 |
18659349
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 憲一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (70363075)
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研究分担者 |
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
遠藤 暁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (90243609)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / 加速器 / リチウムターゲット / 冷却システム / 除熱 |
研究概要 |
これまでに、ファントム実験を通して有効性を確認した計算手法により、線量面から見た加速器BNCTの成立性を確認した。その結果、エネルギー1.9〜2.5MeV、電流10〜20mAの陽子ビームをLiターゲットに入射し、発生する中性子場を減速・整形することにより、3〜5cmのTPD(治療のための線量条件を満たす照射領域の深さ)が得られることを明らかにした。 有用性を確認した陽子ビーム条件のうち、たとえば1.9MeV、19mA、直径18cmではLiターゲット発熱は約139W/cm^2となるが、これは冷却系を想定した事前計算により冷却可能性が期待できる範囲である。 冷却系設計・試作のための基礎データとして、Liターゲットの製作方法について真空蒸着法と圧延圧着法が与える性能面への影響を陽子照射試験により比較検討した。具体的には、製作方法ごとにそれぞれ厚さ約100μmのLiターゲットを試作し、広島大学原爆放射線医科学研究所中性子発生用加速器(HILAC)の2.5MeV、20μA程度、直径1〜2cm程度の陽子ビーム(10〜40W/cm^2)により照射を行い、Liターゲットの状態、ならびに、発生する中性子・γ線照射場の強度を比較した。これにより、次の知見を得た。 (1)真空蒸着と圧延圧着によるLiターゲットは、100μm前後の厚みでは同様の照射特性を有する。 (2)3時間程度にわたり中性子発生効率の変化を観測した結果、照射時間3時間経過しても中性子発生がみられることから、3時間程度の寿命は得られるものと判断した。 今後は、Li温度と照射によるLi減少量の測定系を整備した上で、より高い発熱密度に対する照射試験を実施するとともに、冷却システムの検討と、その照射特性の評価を目指す。
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