研究概要 |
(方法) 若年男性を被験者として、1.5T-MRI装置(Philips, Achieva)を用いて、Spin Echo法にてEcho timeを変化させて(Repetition time 2000 msec, Echo time 20-120 msec)、大腿骨頭にRegion of Interest(ROI)を設定し、ROIのSignal intensityの変化を以下の数式にfittingし、T2緩和時間の測定を行った。 SI=Me-(TE/T2)SI : Signal intensity M : Spin density TE : Echo time T2 : T2緩和時間 頭側の総腸骨動脈に対しSaturation pulseを印加した場合と印加しなかった場合とでT2緩和時間を比較検討した。 (結果) Saturation pulseを印加しない場合では、T2緩和時間は129.1±1.Omsecであったが、saturation pulseを印加した場合は、127.2±0.8msecと、T2緩和時間は2msec程度短縮した。 (考察) 血液のT2緩和時間は比較的長いと考えられるので、Saturation pulse印加によって流入する血液のSignal intensityが低下したために、全体としてT2緩和時間の短縮が生じたと推定される。したがって、動脈の上流側へのSaturation pulse印加の有無によるT2緩和時間の違いは、血流量を推定するパラメータとして利用できる可能性が考えられる。 しかし、T2緩和時間の差は1.5%程度と、僅かであり、現在の方法のままでは臨床への応用は困難と考えられ、計測方法の改良を重ねている。一案として、心臓で使われているBlack blood imagingを応用し、血液のT1緩和を利用して血液の信号を抑制する方法の有無によるT2緩和時間の違いやSignal intensity自体の違いを利用する方法について検討を始めている。
|