[研究の目的と背景] 本研究の目的は、腫瘍発生モデルマウスにおけるJNK-MMP系の活性制御機構および細胞外基質破壊・腫瘍進展に果たす役割を解明し、有効な治療標的を同定することである。より具体的には、 1.腫瘍発生マウスにおける癌発生の過程において、どの時期にどの細胞においてJNK-MMP系の活性化が見られるのかを明らかにする。 2.腫瘍発生マウスにおいて腫瘍細胞が産生し、宿主細胞のJNKを活性化する因子を同定する。 3.JNK阻害、および同定されたJNK活性化因子の阻害により腫瘍発生マウスにおける腫瘍進展が抑制されるか、さらに生命予後が改善されるかを検証する。 [平成19年度の結果] 腫瘍発生進展の実験系として、ラットインスリンプロモーター(RIP)によりSV40 early regionを強制発現させたRip-Tagマウスを実験系として用いた。Rip-Tagマウスに特異的JNK阻害剤(SP600125)を投与し、vivoの腫瘍形成におけるJNKの役割を検討したところ、JNK阻害により腫瘍体積の有意な減少と、延命効果を認めた。ビーズアレイ法で摘出組織中のサイトカイン23種を網羅的に解析した結果、腫瘍発生の過程でエオタキシンが増加することを見いだした。
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