研究課題/領域番号 |
18659370
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小林 道也 高知大学, 医学部, 教授 (30205489)
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研究分担者 |
松崎 茂展 高知大学, 医学部, 准教授 (00190439)
並川 努 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (50363289)
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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キーワード | 感染症 / 細菌 / 外科 / 応用微生物 |
研究概要 |
本研究では、多剤耐性黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成を伴う感染症を想定し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)バイオフィルムに対するファージ由来溶菌酵素MV-L投与の効果、MRSA全身感染マウスに対するMV-L投与の効果、およびバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(VISA)に対するMV-Lの溶菌効果を検討した。 (1)ポリスチレン96穴プレートにおいてMRSA計10株の培養を行ない、表面にバイオフィルムを形成させ、緩衝液およびMV-L処理後の残存菌量をクリスタルバイオレット染色し定量化した。その結果、検討した全ての菌株で、MV-L投与群において残存菌量が未処理群の1/2から1/3に低下したことから、MV-Lはバイオフィルム除去において有効である可能性が示唆された。 (2)致死量のMRSA株をマウス腹腔内に接種後、緩衝液あるいはMV-Lを腹腔内投与後、30分で採血を行ない、血中菌数を計測した。その結果、MV-L投与群は緩衝液投与群と比較し、菌数が約1/8に低下しており、生体内でもMV-Lによる溶菌を起こしうると考えられた。 (3)細胞壁が通常の黄色ブドウ球菌の2倍に肥厚しているVISA株は、MV-Lに対する感受性により2群に分けられた。一方は、MRSA株と同様にMV-Lに対して高感受性を示す群(全体の約1/3)、他方はMV-Lに対して低感受性の群である(全体の2/3)。しかし後者については、低濃度のバンコマイシン(4μg/ml)と低濃度のMV-Lの相乗作用を利用して溶菌可能であり、このタイプのVISAによる感染症に対してはこの相乗効果を利用して対処可能であると考えられた。 以上から、今後更に検討を要するものの、バイオフィルム形成を伴う多剤耐性黄色ブドウ球菌全身感染症に対し、MV-L投与は有効な治療法である可能性が示唆された。
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