研究課題
本年度の研究にてELISPOT assayおよびTetramer stainingの手技がほぼ確立し、昨年度までに施行していた臨床試験(サバイビン2B単独投与、サバイビン2BペプチドとIFA併用投与)の免疫学的モニタリング解析が完遂した。また、本年度の臨床試験としては乳癌および全消化器癌を対象にIFN-a併用のサバイビン2Bペプチドによるペプチドワクチン療法・第一相臨床試験を施行した。プロトコールは、サバイビン2Bペプチド1.0mgとIFA1.0mlの混合液を2週間間隔で4回、IFN-aは300万IUを週2回皮下注射した。また、癌原発巣におけるMHCクラスI発現を抗MHCクラスI抗体(mAb : EMR805)にて免疫染色し解析した。乳癌を対象とした臨床試験においては、サバイビン2BペプチドとIFA併用投与で、4症例全例にTetramer stainingにてtetramer陽性CTLの発現頻度上昇を認め、そのうち1症例ではELISPOT assayにてもスポット数の増加を認めた。しかしながら、臨床的には全例PDであった。一方、大腸癌症例においてはペプチドとIFAおよびIFN-a併用投与によって4症例全例にTetramer stainingにて陽性反応(そのうち1例はELISPOT assayにても陽性反応)を認め、臨床的には3例にSD、1例にPDを認めた。また、これまでに施行したペプチドワクチン臨床試験施行症例の癌原発巣でのMHCクラス1発現の低下・消失は、大腸癌では18.2%、乳癌では57.1%に認めた。以上より、サバイビン2Bペプチドによりペプチド特異的CTLを誘導しえたにもかかわらず、それが臨床的反応と相関しない場合があり、この一機序として癌組織中のMHCクラスIの発現低下・消失による免疫エスケープ機序が考えられ、またMHCクラスI発現低下・消失率は臓器によって異なる可能性が示唆された。このMHCクラスI発現の確認は、ペプチドワクチン療法のより的確な適応症例絞込みに寄与する可能性が考えられ、今後更なる症例の蓄積を進めていく予定である。以上の結果より乳癌と大腸癌では、サバイビン2Bペプチドにより同様にペプチド特異的免疫反応を誘導しても臨床効果発現頻度に違いを認めた。そこで、これらの症例の原発巣でのMHCクラスI発現を免疫染色にて確認したところ、上記大腸癌症例では4症例中1例のみでMHCクラスI発現が低下していたが、乳癌症例では2例においてMHCクラスI発現の低下を認めていた。
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