研究課題/領域番号 |
18659381
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20291445)
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研究分担者 |
宮田 博志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80362713)
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 助教授 (10324782)
藤原 義之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40314330)
瀧口 修司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00301268)
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キーワード | 食道癌 / オートファジー / 放射線療法 / 低酸素 / LC3 |
研究概要 |
ヒト食道癌組織におけるオートファジーの関与について検討するために、オートファジー関連タンパクであるLC3の食道癌組織における発現を免疫組織学的に評価した。対象は術前未治療の食道癌切除例99例で抗LC3抗体による免疫染色を行い、陽性細胞数のfrequencyとintensityの総合評価によりLC3高発現/低発現の2群に分けて臨床病理学的因子との関連を比較検討した。LC3発現は正常組織ではほとんどみられず食道癌組織のみに見られた。食道癌組織の中では腫瘍の先進部においてLC3発現が強い傾向がみられた。99例中51例(51.5%)においてLC3が高発現しており48例(48.5%)は低発現であった。LC3の発現と腫瘍深達度、リンパ節転移、組織型(分化度)との間に明らかな関連は見られなかったが、LC3発現別に予後をみると、LC3低発現の5年生存率73%に対してLC3高発現では38%でありLC3高発現の症例は低発現症例に比べて有意に予後不良であった(p=0.0006)。またLC3発現と腫瘍増殖のマーカーであるKi-67の発現の比較検討を行ったところ、LC3が強発現する癌部に一致してKi-67の発現が見られた。以上の結果からヒト食道癌組織におけるLC3発現(=オートファジー)は悪性度と関連することが示唆された。さらに腫瘍の低酸素・低栄養環境下での飢餓適応におけるオートファジーの関与を検討するために低酸素マーカーであるCA9、GLUT1とLC3発現の関連を免疫組織学的に評価しているところである。これらの検討はまず術前未治療の食道癌組織において行っているが、次の段階として放射線治療後や化学療法後の腫瘍組織におけるLC3発現を調べることで、我々の仮説のように放射線治療や化学療法による腫瘍環境の変化に対して癌細胞がオートファジーを利用して生存適応を行っているかどうかを検討していく予定である。
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