研究課題/領域番号 |
18659381
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20291445)
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研究分担者 |
宮田 博志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80362713)
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 准教授 (10324782)
藤原 義之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40314330)
瀧口 修司 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00301268)
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キーワード | 食道癌 / オートファジー / 低酸素 / LC3 |
研究概要 |
消化器癌におけるオートファジーの意義について検討するためにオートファジー・マーカーとしてMicrotubule-associated protein 1 light chain 3 (LC3),の免疫染色を消化器癌で行った。対象は当科で切除を行った消化器癌163例(食道癌106例、胃癌38例、大腸癌19例)と前癌病変としての食道intraepithelial neoplasia 70例。食道癌においてはLC3発現と細胞増殖マーカーとしてのKi-67、低酸素マーカーとしてのCA-IXの発現との関係を調べた。LC3免疫染色の評価は陽性細胞数のfrequencyとintensityの総合評価をスコア化し高発現/低発現の2群に分けて検討を行った。LC3発現は正常組織ではみられず癌組織のcytoplasmのみに見られ、食道癌では53%、胃癌では58%、大腸癌では63%がLC3高発現であった。食道前癌病変から早期癌にかけてLC3スコアは増加したが、進行癌ではそれ以上の増加はなかった。またLC3とKi-67の関係ではLC3高発現を示す癌部分はKi-67陽性となる傾向があり、特に早期癌ではLC3発現とKi-67陽性率は相関した。一方、LC3とCA-IXの関係ではCA-IXが癌巣の中心部で染色されるのに対してLC3は癌巣の辺縁で染色され、早期癌、進行癌のいずれにおいても両者の染色性に相関はみられなかった。また食道癌におけるLC3発現と患者予後の間には関連はみられなかった。以上より、LC3は癌組織で高発現がみられオートファジーが亢進していると考えられた。特にオートファジーは癌進展の早期において重要な役割を果たすことが考えられた。
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