研究課題/領域番号 |
18659383
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70178143)
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研究分担者 |
神垣 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20372641)
藤野 泰宏 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (30335450)
栄田 敏之 京都大学, 大学院薬学研究科, 教授 (00304098)
菱川 良夫 神戸大学, 大学院医学系研究科, 客員教授 (20122335)
村上 昌雄 神戸大学, 大学院医学系研究科, 客員助教授 (50210018)
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キーワード | 膵癌 / 粒子線療法 / 化学療法 / 集学的治療 |
研究概要 |
平成18年度は「局所進行膵癌に対する術前粒子線療法併用外科的切除の第I/II相臨床試験」と「膵癌に対する術後補助化学療法例」を中心にその有効性、有害事象等について検討をおこない、局所進行膵癌における粒子線療法の耐容性と至適照射量を決定するとともに術後補助化学療法例の臨床学的特長について検討を行った。 局所進行膵癌に対する粒子線療法についての臨床試験開始後、現在までに局所進行膵癌16例が登録されレベル1(40Gy)6例施行後、レベル2(50Gy)に10例が登録された。レベル1では3例に外科的切除が試みられたが、2例は単開腹に終わった。残りの1例は切除後、病理学的に胆管癌と診断されている。レベル2では1例に外科的切除が推奨されたが、患者拒否のため施行されなかった。有害事象としてレベル1および2とも胃十二指腸炎と皮膚障害が大多数の症例で認められたが、最終的には耐容可能な事象であった。このことから照射線量として50Gyまでの照射は可能と考えられた。1例に60Gy照射が施行され明らかな有害事象は認めていないが、至適照射量としての決定は本離床試験では設定不可能であった。経過を通じて局所進行膵癌が大多数を占めるため、16例中6例に肝転移を中心とした遠隔転移が発見されていることから、本研究目的である化学療法等を組み合わせた集学的治療の必要性が示唆されている。治療効果については現在、経渦観察中の症例も多く今後の検討を要する。 一方、gemcitabine術後補助化学療法が施行された膵癌切除39例について検討を行い、術後の腫瘍マーカーCEAおよびCA19-9の変動がその治療効果と相関することを見出し、現在、gemcitabine代謝および活性化酵素との関連を検討中である。以上のように今年度は臨床症例の解析を中心に行い、現在症例の蓄積とともに基礎的検討への移行を図っている。
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