(1)胃癌切除例110例におけるHMG2Aの発現検索で高発現症例は予後不良であり、漿膜浸潤、リンパ管侵襲、血管浸潤が有意に強い傾向を認めた。マイクロRNAの一つであるlet-7はHMG2Aをターゲットとすることが報告され、胃癌におけるlet-7の発現とHMG2Aについて検索したところ、胃癌臨床例においてもHMG2Aはlet-7によって制御されていることを見出したのでこれをClin Cancer Res(in press)に報告した。 (2)大腸癌臨床検体4例の腫瘍部と非腫瘍部を用いて、癌と正常組織におけるmicroRNAの発現プロファイルを作成し、大腸癌特異的に高発現するmiRNA(21個)を同定した。21個の中で選択した6個(miR-31、miR-183、miR-18a、miR-17-5p、miR-20a、miR-92)についてはリアルタイムRCRシステム(Applied Biosystems社)とTaqMan[○!R]MicroRNA Assays(Applied Biosystems社)を用いて計測し、約69症例の大腸正常組織と比較して大腸癌組織で高発現していることを確認した。前述した6個のmicroRNAは大腸癌組織において高発現していることから、大腸癌の発癌・進展において重要な役割を果たしていることが示唆された。6個のmicroRNAの中で、miR-18a高発現群は低発現群と比較して予後不良となる傾向があること見出した。今後、miR-18aを大腸癌患者において予後予測マーカーとして使用できる可能性が示唆された。
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